準静的過程

可逆過程を組み合わせることで可逆サイクルが成り立つが、可逆過程は実際には実現できない。例えば、熱が伝わる過程は必ず不可逆の過程となる(2.2.3 $^{\text{p.\pageref{sec-HeatIrreversibility}}}$)。この実際には実現できない可逆の過程を、理想的な状況における過程として示したのが準静的過程である。準静的過程についてはすでに2.2.4 $^{\text{p.\pageref{sec-Quasistatic}}}$節で詳細を示している。 準静的過程では考えている閉じた系と周囲との間で常に平衡が成り立っており、系の内部と周囲でもそれぞれ平衡が維持されている過程である。平衡状態は釣り合いがとれ変化をしなくなった状態であるので、可逆の現象である。しかし、平衡状態が続いても状態は変化しない。そこで平衡状態で極微小な変化をしており、その変化が無限時間続くことで平衡状態で可逆の変化が起こる、と考えるのが準静的過程である。準静的過程では周囲と常に平衡である必要があるため、等温過程しか取りえない5.13



脚注

... 準静的過程では考えている閉じた系と周囲との間で常に平衡が成り立っており、系の内部と周囲でもそれぞれ平衡が維持されている過程である。平衡状態は釣り合いがとれ変化をしなくなった状態であるので、可逆の現象である。しかし、平衡状態が続いても状態は変化しない。そこで平衡状態で極微小な変化をしており、その変化が無限時間続くことで平衡状態で可逆の変化が起こる、と考えるのが準静的過程である。準静的過程では周囲と常に平衡である必要があるため、等温過程しか取りえない5.13
平衡とは温度が一定になった状態であるので、温度が変化をしては平衡ではない。
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