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3.1 状態量

系の状態を表す物理量を状態量と呼ぶ。系の状態量として系の物質の量を表す質量$ M$ [kg] 3.1と系の状態を表す体積$ V$ [m$ ^3$ ]・温度$ T$ [K]・圧力$ P$ [Pa]を測ることができる。質量と体積は量を表し示量性状態量(Extensive Properties)と呼ばれ、温度と圧力は強さを表す値で示強性状態量(Intensive Properties)と呼ばれる 3.2。示量性状態量は系が二倍になると値が二倍になるが、示強性状態量では系が二倍になっても値は変わらない。これまでに出てきた内部エネルギーやエンタルピー、エントロピーは示量性状態量である。これらの質量以外の示量性状態量の質量3.3あたりの値は比状態量(Specific Properties)[4][5]と呼ばれ記号は小文字で表される(体積$ V$ [m$ ^3$ ]であれば比体積$ v$ [m$ ^3$ /kg])。比状態量は系が二倍になっても値は変わらないので示強性状態量と同じ特徴を示し、同じように扱われる。

熱力学的平衡状態は二つの独立な示強性状態量(比状態量を含む)によって完全に表されることが知られている 3.4。この平衡状態でのそれぞれの状態量の関係を表す方程式を状態方程式と呼ぶ。 例えば、圧力と温度は蒸発などの相変化をしているときには、どちらかが決まれば他方も決まる独立な状態量ではないため、相変化中の平衡状態を表すことができない。 具体的な値として大気圧下(約0.1 MPa)では水の沸騰する温度は常に100 ℃であり、このとき温度と圧力は独立な状態量ではない。

この章ではそれぞれの状態量について詳細を記す。


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