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2.1.6 相対する面での差の計算

式(2.4) $ ^$p.[*] で表さられる支配方程式の出入量について考える。コントロールボリューム内の物理量が増えると正となるので出入は“入る量 - 出る量”で計算される。 図2.2の左側のyz面で、物理量の出入$ F_{x -}$ があるとする。このときの、右のyz面での出入を考える。yz面を通過する出入の量が$ x$ の位置によって異なれば、$ F$ はxの関数として表される。コントロールボリューム左側から右側に$ x$ 方向の位置が$ dx$ だけ変わるとき、それぞれでの出入の量、$ F_{x -}$ $ F_{x +}$ の値はどう違うだろうか。図2.4に示すように、左側の面での流量$ F$ $ x$ 方向への変化量(傾き)は、$ x$ で微分した値、 $ \left. \dfrac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}$ となる。図2.4のグラフのように傾きは $ \left. \dfrac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}$ であるので、dx離れた右側の位置での縦軸の$ F$ の微小変化量$ d F$ は、傾きに$ dx$ をかけた $ \left. \dfrac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}dx$ となる。よって、右側の面での出入の量、$ F_{x +}$ は次のように表される2.4

$\displaystyle F_{x +}= F_{x -}+ d F = F_{x -}+ \left. \frac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}dx$ (2.10)

x方向のyz面における出入の量は、これらの左側の面での$ F_{x -}$ と右側の面での$ F_{x +}$ から求められる。出入量は左側と右側の面ではコントロールボリュームに対して出る方向と入る方向が逆になるので、差をとりx方向の値を求める。例えば左から右(xの正の方向)に物理量が移っている場合は、左の面では入る方向で増加するプラス、右の面では出て行き減少しマイナスとなる。式で表すと、

$\displaystyle “出入量” = F_{x -}- F_{x +}$ $\displaystyle = F_{x -}- \bigg( F_{x -}+ \left. \frac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}dx \bigg)$    
  $\displaystyle = - \left. \frac{\partial F}{\partial x} \right\vert _{x -}dx$ (2.11)

となる。式(2.4) $ ^{\text{p.\pageref{eq-GovJ1}}}$ の“境界面での対流による出入量”、“境界面での作用による出入量”、“体積に対する変化量”の項は上式(2.12) $ ^{\text{p.\pageref{eq-diff}}}$ で表される。入ってくる物理量をベクトルで表すと、変化量は発散2.5で表される。

図 2.4: 変化量
\includegraphics[width=50mm]{figures/Diff.eps}


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