解答

  1. 可逆熱機関の効率は式(2.16) $^{\text{p.\pageref{eq-CarnotHeatengineEfficiency}}}$で表される。二つの熱源の差が大きいほど効率は良くなるため、5℃と1000℃の組み合わせが最も効率が高くなる。式(2.16)中 $\varTheta_\mathrm{1}$[K]が高温熱源温度、 $\varTheta_\mathrm{2}$[K]が低温熱源の温度であるので、それぞれの値を求める。

    $\displaystyle \varTheta_\mathrm{1}$ $\displaystyle = 1000 \: \mathrm{℃} + 273.15 = 1273.15 \: \mathrm{K}$    
    $\displaystyle \varTheta_\mathrm{2}$ $\displaystyle = 5 \: \mathrm{℃} + 273.15 = 278.15 \: \mathrm{K}$    

    $\displaystyle \eta = \frac{\varTheta_\mathrm{1} - \varTheta_\mathrm{2}}{\varThe...
....15 \: \mathrm{K} - 278.15 \: \mathrm{K}}{1273.15 \: \mathrm{K}} \simeq 0.781
$

    効率は0.781である。
  2. 可逆熱機関の効率は式(2.16) $^{\text{p.\pageref{eq-CarnotHeatengineEfficiency}}}$で表される。 1000℃と900℃の組合せでの効率 $\eta_\mathrm{h}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \eta_\mathrm{h} = \frac{1273.15 \: \mathrm{K} - 1173.15 \: \mathrm{K}}{1273.15 \: \mathrm{K}} \simeq 0.079
$

    100℃と0℃の組合せでの効率 $\eta_\mathrm{l}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \eta_\mathrm{l} = \frac{373.15 \: \mathrm{K} - 273.15 \: \mathrm{K}}{373.15 \: \mathrm{K}} \simeq 0.268
$

    このように同じ温度差で可逆熱機関を動作させた場合でも、熱源の温度によって効率は大きく異なる。 900℃の低温熱源で効率0.268を得るには1130.14℃の高温熱源が必要である。

  3. 可逆熱機関の効率は式(2.16) $^{\text{p.\pageref{eq-CarnotHeatengineEfficiency}}}$で表される。 何もない宇宙空間との組合せでの効率 $\eta_\mathrm{space}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \eta_\mathrm{space} = \frac{300 \: \mathrm{K} - 2.7 \: \mathrm{K}}{300 \: \mathrm{K}} \simeq 0.991
$

    太陽との組合せでの効率 $\eta_\mathrm{sun}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \eta_\mathrm{sun} = \frac{6000 \: \mathrm{K} - 300 \: \mathrm{K}}{6000 \: \mathrm{K}} \simeq 0.950
$

    このように宇宙空間と地球表面での方が効率が高いが、伝わる熱量は太陽からの方が圧倒的に大きいため、動作させれば得られる仕事は太陽との方が大きくなる。

  4. 可逆ヒートポンプの成績係数は式(1.27) $^{\text{p.\pageref{eq-EfficiencyPumpQ}}}$より

    $\displaystyle \epsilon_\mathrm{12可} = \frac{ \vert Q_\mathrm{1 可} \vert }{ \ver...
... }{ 1 - \dfrac{ \vert Q_\mathrm{2 可} \vert }{ \vert Q_\mathrm{1 可} \vert } }
$

    ここに式(2.12) $^{\text{p.\pageref{eq-AbsoluteTemperature}}}$を代入する。

    $\displaystyle \epsilon_\mathrm{12可} = \frac{ 1 }{ 1 - \dfrac{\varTheta_\mathrm{...
... } = \frac{\varTheta_\mathrm{1}}{\varTheta_\mathrm{1} - \varTheta_\mathrm{2}}
$

    可逆ヒートポンプの成績係数は熱源の温度により上式のように表される。

  5. 可逆熱機関の効率は式(2.16) $^{\text{p.\pageref{eq-CarnotHeatengineEfficiency}}}$で表される。 0 Kと300 Kの組み合わせでの効率 $\eta_\mathrm{0 K}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \eta_\mathrm{0 K} = \frac{300 \: \mathrm{K} - 0 \: \mathrm{K}}{300 \: \mathrm{K}} = 1
$

    このように低温熱源が0 Kである場合には高温熱源の温度にかかわらず効率は1となり、高温熱源から受け取った熱は全て仕事に変換できる。 次に可逆ヒートポンプの成績係数は上問の解答より成績係数 $\epsilon_\mathrm{0 K}$は次のように求められる。

    $\displaystyle \epsilon_\mathrm{0 K} = \frac{300 \: \mathrm{K}}{300 \: \mathrm{K} - 0 \: \mathrm{K}} = 1
$

    このように低温熱源が0 Kである場合には高温熱源の温度にかかわらず可逆ヒートポンプの成績係数は1となり、高温側で得られる熱は仕事からのみであり、低温熱源から熱を奪うことはできない。

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