準静等温過程での関係

カルノーサイクルは準静等温過程と可逆断熱過程の組み合わせであるので、熱源との熱のやりとりは準静等温過程でのみ行われる。

高温側の準静等温膨張過程(3→4)と低温側の準静等温圧縮過程(1→2)でのエネルギーの保存式はそれぞれ次のように表される。

$\displaystyle U_4 - U_3$ $\displaystyle = W_{34} + Q_{34}$    
$\displaystyle U_2 - U_1$ $\displaystyle = W_{12} + Q_{12}$    

理想気体の内部エネルギーは温度のみの関数であるので、等温過程では変化しない。よって上式はそれぞれ次のように表される。

$\displaystyle Q_{34}$ $\displaystyle = - W_{34}$ (C.3)
$\displaystyle Q_{12}$ $\displaystyle = - W_{12}$    

上式で示されるように、仕事を求めれば熱源と交換される熱の大きさが分かるため、準静等温過程における仕事を求める。

$\displaystyle W_{34}$ $\displaystyle = \int^{V_4}_{V_3} P \mathrm{d}V$    
  $\displaystyle = \int^{V_4}_{V_3} \frac{n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34}}{V} \mathrm{d}V$    
  $\displaystyle = n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34} \int^{V_4}_{V_3} \frac{1}{V} \mathrm{d}V$    
  $\displaystyle = n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34} \left[ \log_e V \right]^{V_4}_{V_3}$    
  $\displaystyle = n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34} ( \log_e V_4 - \log_e V_3 )$    
  $\displaystyle = n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34} \log_e \frac{V_4}{V_3}$    

上式と式(C.3)より次の式が求められる。

$\displaystyle Q_{34}$ $\displaystyle = - n R \varTheta_\mathrm{ideal, 34} \log_e \frac{V_4}{V_3}$ (C.4)

同様に低温側の準静等温圧縮過程(1→2)についても計算すると次式を得る。

$\displaystyle Q_{12}$ $\displaystyle = - n R \varTheta_\mathrm{ideal, 12} \log_e \frac{V_2}{V_1}$ (C.5)

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