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1.2.10 解答

  1. 熱、単位はJ(ジュール)。1.2.3 $ ^{\text{p.\pageref{sec-Heat}}}$ 参照。

  2. 内部エネルギー、単位はJ(ジュール)。1.2.6 $ ^{\text{p.\pageref{sec-InternalEnergy}}}$ 参照。

  3. 作用するエネルギーは熱・仕事、系が保有するエネルギーは内部エネルギー・運動エネルギー・位置エネルギー。すべて単位はJ(ジュール)。参考までに他の単位は運動量[kg m/s]・温度[℃またはK]・圧力[Pa]・速度[m/s]である。

  4. 机から跳び、床に降りることで、机と床での位置エネルギーの差、跳んだ速度と床で止まった状態との運動エネルギーの差は、熱となって床または部屋の空気に伝わり内部エネルギーが変化する。この問題では全て空気に伝わるとしている。位置エネルギーの変化量 $ \Delta E_\mathrm{位}$ と運動エネルギーの変化量 $ \Delta E_\mathrm{運}$ を求める。
    $ \Delta E_\mathrm{位} = 70 {\rm kg} \times 9.81 {\rm m/s^2} \times 1 {\rm m} = 686.7 {\rm J}$
    $ \Delta E_\mathrm{運} = 1 / 2 \times 70 {\rm kg} \times (10 {\rm m/s})^2 = 3500 {\rm J}$
    位置エネルギーと運動エネルギーの変化量の合計の4186.7 J空気の内部エネルギーが変化する。 次に6畳の部屋の体積を求める。
    $ 2.7 $ m $ \times 3.6 $ m $ \times 2.6 $ m$ = 25.272 $ m$ ^3$
    空気の密度は1.176 kg/m$ ^3$ とあるので、部屋の空気の質量を求める。
    $ 25.272 {\rm m^3} \times 1.176 {\rm kg/m^3} = 29.719872 {\rm kg} \simeq 29.72 {\rm kg}$
    式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ を変形し温度変化を求める。内部エネルギーの変化量を部屋の空気の質量と比熱で割る。
    4186.7 J / {0.717 kJ/(kg $ \cdot$ K) $ \times$ 29.72 kg} $ \simeq$ 0.196 K
    部屋の温度が約0.2 K(℃)上昇する。

  5. 問4から6畳の部屋の体積は25.272 m$ ^3$ 、部屋の空気の質量は29.72kgである。 式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ より内部エネルギーの変化が求まる。
    $ 0.717 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \times 29.72 \: {\rm kg} \times ( 27 \: {\rm ℃} - 34 \: {\rm ℃} ) = - 149.16468 \: {\rm kJ} \simeq - 149.2 \: {\rm kJ}$
    内部エネルギーの変化量と同じエネルギーを熱として奪う(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので、熱の大きさは- 149.2 kJである。

  6. 鍋の中の水の質量を求める。
    $ 2.0 \times 10^-3 \: {\rm m}^3 \times 984.79 \: {\rm kg/m}^3 = 1.96958 \: {\rm kg} \simeq 1.970 \: {\rm kg}$
    式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ より内部エネルギーの変化が求まる。
    $ 3.992 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \times 1.970 \: {\rm kg} \times ( 100 \: {\rm ℃} - 20 \: {\rm ℃} ) = 629.1392 \: {\rm kJ} \simeq 629.1 \: {\rm kJ}$
    内部エネルギーの変化量と同じエネルギーを加熱する(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので、熱の大きさは629.1 kJである。
  7. 問4から6畳の部屋の体積は25.272 m$ ^3$ 、部屋の空気の質量は29.72kgである。また、問5から鍋の中の水の質量は1.97kgである。等しくなった際の温度を $ T_\mathrm{等}$ とすると、お湯の内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{湯}$ と部屋の空気の内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{空}$ は式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ より次式で表される。
    $ \Delta U_\mathrm{空} = c_{v} m \Delta T = 0.717 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
...℃} ) \simeq 21.309 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 27 \: {\rm ℃} ) $
    $ \Delta U_\mathrm{湯} = c_{v} m \Delta T = 3.992 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
...℃} ) \simeq 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 100 \: {\rm ℃} ) $
    内部エネルギーの変化は等しい(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので次式が成り立つ。
    $ \Delta U_\mathrm{空} = - \Delta U_\mathrm{湯}$
    上式に $ \Delta U_\mathrm{空}$ $ \Delta U_\mathrm{湯}$ の値を代入すると次の関係が成り立つ。
    $ 21.309 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 27 \: {\rm ℃} ) = - 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 100 \: {\rm ℃} )$
    $ T_\mathrm{等} \simeq 46.68 \: {\rm ℃}$
    また、内部エネルギーの変化と伝わった熱の大きさは等しい(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので次式が成り立つ。
    $ \Delta U_\mathrm{空} = - \Delta U_\mathrm{湯} = \vert Q\vert $
    $ \Delta U_\mathrm{湯}$ から伝わった熱$ Q$ を求める。
    $ \vert Q\vert = - \Delta U_\mathrm{湯} \simeq 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\...
...\rm ℃} - 100 \: {\rm ℃} ) = 419.30848 \: {\rm kJ} \simeq 419.31 \: {\rm kJ}$
    2 Lのお湯で6畳の部屋を46.68℃まで温めることができ、伝わる熱の大きさは419.31 kJである。

  8. お湯の質量を求める。
    $ 2.0 \times 10^-3 \: {\rm m}^3 \times 984.79 \: {\rm kg/m}^3 = 1.96958 \: {\rm kg} \simeq 1.970 \: {\rm kg}$
    等しくなった際の温度を $ T_\mathrm{等}$ とすると、お湯の内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{湯}$ とレトルトカレーの内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{カ}$ は式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ より次式で表される。
    $ \Delta U_\mathrm{湯} = c_{v} m \Delta T = 3.992 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
...℃} ) \simeq 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 100 \: {\rm ℃} ) $
    $ \Delta U_\mathrm{カ} = c_{v} m \Delta T = 3.992 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
... ℃} ) \simeq 0.798 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 20 \: {\rm ℃} ) $
    内部エネルギーの変化は等しい(式(1.10 $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ ))ので次式が成り立つ。
    $ - \Delta U_\mathrm{湯} = \Delta U_\mathrm{カ}$
    上式に $ \Delta U_\mathrm{湯}$ $ \Delta U_\mathrm{カ}$ の値を代入すると次の関係が成り立つ。
    $ - 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 100 \: {\rm ℃} ) = 0.798 \: {\rm kJ/K} \times ( T_\mathrm{等} - 20 \: {\rm ℃} )$
    $ T_\mathrm{等} \simeq 92.63 \: {\rm ℃}$
    また、内部エネルギーの変化と伝わった熱の大きさは等しい(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので次式が成り立つ。
    $ - \Delta U_\mathrm{湯} = \Delta U_\mathrm{カ} = \vert Q\vert $
    $ \Delta U_\mathrm{湯}$ から伝わった熱$ Q$ を求める。
    $ \vert Q\vert = - \Delta U_\mathrm{湯} \simeq - 7.864 \: {\rm kJ/K} \times ( T...
... {\rm ℃} - 100 \: {\rm ℃} ) = 57.95768 \: {\rm kJ} \simeq 57.96 \: {\rm kJ}$
    2 Lのお湯でレトルトカレーを92.63 ℃まで温めることができ、伝わる熱の大きさは57.96 kJである。

  9. 快適と考える温度を18℃として解答をする。また、18℃となる鍋の中のお湯の質量を $ m_\mathrm{湯}$ とおく。問4から6畳の部屋の体積は25.272 m$ ^3$ 、部屋の空気の質量は29.72kgである。部屋の空気の内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{空}$ とお湯の内部エネルギーの変化 $ \Delta U_\mathrm{湯}$ は式(1.7) $ ^{\text{p.\pageref{eq-InternalTemperatureDelta}}}$ より次式で表される。
    $ \Delta U_\mathrm{空} = c_{v} m \Delta T = 0.717 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
...{\rm ℃} - 5 \: {\rm ℃} ) = 277.02012 \: {\rm kJ} \simeq 277.02 \: {\rm kJ} $
    $ \Delta U_\mathrm{湯} = c_{v} m \Delta T = 3.992 \: {\rm kJ/(kg \cdot K)} \tim...
...kg} \times m_\mathrm{湯} \simeq - 327.34 \: {\rm kJ/kg} \times m_\mathrm{湯} $
    内部エネルギーの変化は等しい(式(1.10) $ ^{\text{p.\pageref{eq-HeatInternalHighLow}}}$ )ので次式が成り立つ。
    $ \Delta U_\mathrm{空} = - \Delta U_\mathrm{湯}$
    上式に $ \Delta U_\mathrm{空}$ $ \Delta U_\mathrm{湯}$ の値を代入すると次の関係が成り立つ。
    $ 277.02 \: {\rm kJ} = 327.34 \: {\rm kJ/kg} \times m_\mathrm{湯}$
    $ m_\mathrm{湯} = 0.846276043 \: {\rm kg}$
    $ m_\mathrm{湯} \simeq 0.846 \: {\rm kg}$
    問5よりお湯の密度は984.79 kg/m$ ^3$ であるので体積は以下のように求まる。
    $ (0.846 \: {\rm kg}) / (984.79 \: {\rm kg/m^3}) = 8.59066 \times 10^{-4} \: {\rm m}^3 = 0.859066 \: \rm L \simeq 0.86 \: \rm L$
    0.86 Lの100℃のお湯で6畳の部屋を5℃から18℃に暖めることができる。
このように空気は水よりも比熱が小さく、空気を加熱して温度を上げるのには、水の温度を上げるよりもはるかに小さなエネルギーでよいことがわかる。


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