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1.4.1 系と平衡

熱力学において、考える対象の領域を“系”と呼ぶ。その中でも外部と物質の出入りがないが熱や仕事のやりとりはある系を“閉じた系”という1.5

閉じた系では系が平衡である状態のみを扱う。平衡とは無限の時間が経過した後の釣り合いがとれた状態であり、系の中が均一であり変化をしない状態である。ある平衡状態から異なる平衡状態へ変化する過程の変化中の内部の状態は扱わず、変化の前と平衡に達した後の状態を扱う。熱が伝わっている状態は必ず温度差があり非平衡であるため、熱が伝わっている状態は取り扱えず、伝わり終わった後の温度が均一な熱平衡になった状態を取り扱う。系の平衡には熱力学的平衡 (thermodynamic equilibrium) を考える 1.6。 熱力学的平衡では以下の平衡がすべて成り立っていなくてはならない[2]。

熱平衡 (Thermal equilibrium)

系の内外で熱の移動とさらに系内でも熱の移動がなく、系内で温度が一定の状態
力学平衡 (Mechanical equilibrium)

系の内外で力が釣り合っておりさらに系内でも力が釣り合っていて、系内で圧力が一定の状態
相平衡 (Phase equilibrium)

相の変化が釣り合っていて、それぞれの相の質量が変化せず一定の状態
化学的平衡 (Chemical equilibrium)

化学反応が釣り合っていて、それぞれの化学物質の質量が変化せず一定の状態

本章では熱力学的平衡にある閉じた系での変化を考える。また、単一の相(例えば全て液体や全て気体)で単一の物質の系を仮定する。そのため本章では相平衡と化学的平衡については考える必要がない。


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