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2.6 局所熱力学的平衡

ここまで、閉じた系において熱力学的平衡が成り立っている状態のみを考えてきた。そのため温度や圧力も平衡状態に対して定義している。しかし、現実的には温度と圧力などが完全に一様な系はほぼ存在せず、ほとんどの系が非平衡であり平衡である系は例外である。実際に使われている熱機関やヒートポンプは非平衡状態である。

現実的な非平衡な系において、これまでに定義した温度や圧力などを適用するため、局所熱力学的平衡の概念を導入する。局所熱力学的平衡は系を非常に小さくとり局所的には温度や圧力の分布が一様で熱力学的平衡が成り立っている状態である。ほとんどの現実的な状況において局所熱力学的平衡が成り立つと考えられる。局所熱力学的平衡では分子数とエネルギーの関係がボルツマン分布となる。1ccの容器内での1msの時間で起こる状態変化は十分に局所熱力学的平衡を満足している[5]。このことから、局所熱力学的平衡が成り立つ系であれば、厳密に熱力学的平衡が成り立っていない系であってもこれまでの熱力学の結果を適用できる。

詳細については文献[5][6]や、ボルツマン分布については統計熱力学の参考書を参照するとよい。温度とボルツマン分布についてはAtkinsの本[7]もわかりやすい。


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